UWB(超広帯域無線)|行動と空間をつなぐ透明なインフラ
公開: 2026.08.31 MON
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研究開発の現在地:★★★★☆ 手応えあり。あと少し。
想定活用空間:美術館・博物館、エンターテインメント施設
ハマりそうな体験:作品との距離に応じて変化するBGM&展示解説、歩いたルート/選択/滞留時間に応じてストーリーが変わる回遊型アトラクション
SEED|研究開発の元となった着想と空間への「問い」と、目指す世界
人の位置をピンポイントで捉えられたら、空間体験はどう変わるのか
美術館や博物館でおなじみの音声ガイド。従来の仕組み(ビーコン等)は「大まかなエリア」しか認識できず、展示物のすぐ前に立っていることまでは判定できない課題がありました。例えるなら、「同じ展示室のどこかにいます」としか分からないような大まかさです。
人の位置をピンポイントで捉えられたなら、空間体験の幅はさらに広くなります。スマホを触る動作すらなくし、歩くだけで人と空間が自然につながる世界を目指しています。
その人が「いま、何を見ているか」に寄り添う鑑賞体験や、どこから見ているまたは聞いているかによってコンテンツを流しわける、といった今までにない尺度での空間体験を実現させていきたいと考えています。
✕ TECH|掛け合わせた技術と「体験翻訳」
UWB(超広帯域無線)測位
30~50cm単位での測位ができる超高精度な無線技術UWB。私たちはこれを、単なる「位置の計測器」ではなく、空間が人の気配を察知する「気配センサー」として捉え直しました。
画面を見る、ボタンを押すといった操作を一切介さず、「そこに立つ」「じっと見つめる」という人の自然な立ち振る舞いそのものを演出のスイッチに翻訳していきたいと考えています。
例えば、このような体験をつくることができます。
立ち止まった「時間」に応じた演出:作品の前で足を止めてからの時間を捉え、最初は概要のナレーション、長く佇むほど深い解説や演出が自然に流れ出す体験
歩くルートや滞在履歴に応じた変化:過去にどの展示を巡ってきたかに合わせて、次に足を踏み入れる部屋の音響や照明のトーンが静かに変化していく体験
ビーコンなら「ざっくり」だった演出が、UWBだと「ぴったり」にできるイメージです。
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概念図|UWBアンカーが送信機、体験者が身に着けるタグが受信機の役割を果たす。Generated by Gemini
MEMO|研究開発担当者メッセージ
UWBを実際に触っていて一番面白いのは、「画面の中の計算通りにはいかない」という生の空間ならではの手強さです。壁の素材や、そこに人が1人立つだけでも、電波の跳ね返り方がコロコロ変わります。
この扱いづらさがある反面、人の「立ち止まる」「振り返る」といった何気ない仕草と演出が、ピッタリ揃った瞬間の感動は格別です。
画面を見る・かざすという動作を一切なくしたとき、人は空間とどう向き合うのか。電波の壁反射といった課題を一つずつクリアしながら、例えば「美術館や博物館だけでなく、商業施設やオフィスで応用したらどうなるか?」といった問いを、さまざまなパートナー様と一緒に深めていきたいと考えています。
なお、一般的なUWB方式だとアンカーと呼ばれる電波の発信機をすべて繋いで時間を合わせなければならないという設置における課題があります。その課題を克服できるシステムも現在検証・開発中です。
VISION|
テクノロジーを空間に組み込む際、最大の壁となるのは「機械を操作している感覚(ノイズ)」をいかに消せるかです。スマホをかざす動作すら削ぎ落とすことができるUWBには、空間体験のノイズをゼロにするポテンシャルがあります。
実証実験では電波の反射などの課題も発生しましたが、アンカーの高さや角度の微調整によって制御できる目途が立ちました。これこそが内装素材やアンカーの配置といった「空間構造」とテクノロジーを一体で設計できる当社の強みが活きる領域です。
ノイズを無くすことはスタートラインに過ぎません。重要なのは、その先にある「体験性を高める演出やコンテンツ」です。単なるスペック争いではなく、空間に実装されたときの「驚き」や「心地よさ」といった真の価値を見据え、プロジェクトへの実戦投入に向けた検証を重ねていきます。
文:UWBプロジェクトメンバー
▼「SEED × TECH」とは?
「発想の種 × テクノロジー」をテーマに、開発者が綴る短編シリーズ。
丹青社CMIセンターの着眼点を外に開く場所として、開発担当者の頭のなかを、お見せできる範囲でつらつらお届けします。



